HELLO!ゆいぴーです!
トロントからバンクーバーに移動し、今はインターンシップに勤しみながら職探し中です。新天地に選んだバンクーバーは、気温は暖かく自然も豊かで最高。
カナダでは大きい道路だと自転車専用レーンもあるし、海辺・湖周りをサイクリングするのはとても気持ちよくて楽しいです。
さて、今回は私がカナダで経験した『珍事件①目の前でチャリ盗まれた話』についてまとめました。
当時はかなりビックリしましたが、今では (事件20分後くらいから) 笑い話です。
ぜひ、日本との違いを楽しんでみてください。
引っ越しの日
2020年12月12日、雨のパラつくどんよりした天気の日のこと。1ヶ月半のホームステイを終え、ちょうど新しい家に引っ越す日。
朝から荷物をまとめ、友人に手伝ってもらいながら大きなリュックサックとスーツケース、そして買ったばかりの “チャリ” を引きずりながらよっこらよっこら最寄り駅に向かって歩いていた。
ホームステイの家から新しい家は少し遠く、TTC(トロントの交通機関)のイエローラインからグリーンラインに乗り換える道順だった。しかし残念なことに、その日は例のごとくイエローラインが工事により動いておらず、乗りなれないバスで移動することになった。
カナダでは電車やバスに自転車を持ち込むことができるので、バスで自転車を運ぶときは、車体の前に付いてあるアタッチメントに設置してから乗り込む。
その日は初めてバスにチャリを載せたので、勝手がわからずドライバーに何から何まで教えてもらった。
折りたたまれているアタッチメントを手前に引いて自転車を乗せてロックするようだ。アタッチメントとチャリを自分のチェーンでロックしようと思ったが、ドライバーも“OK,OK”という感じだったし、アタッチメントとチャリががっちり固定されていたので必要ないかと思い、そのままバスに乗り込んだ。
相棒との出会い
このチャリは、12月5日、引っ越しの丁度1週間前に、e-Mapleというサイトで見つけて90ドルで譲ってもらったものだった。自転車好きな私がかっこいいなと思った相棒。大好きな赤色の細身なボディに、乗りやすい6段変速。少しの漕ぎにくさにさえ愛着が沸いた。
譲ってもらった当日、真冬の寒さの中、仕事終わりの午後10時からLakeshoreでオンタリオレイクの周りを計6時間漕ぎ続けた。手が寒さで凍えたり、泥の水たまりに足を突っ込んだりしながらも、湖を挟んだトロント夜の街並みの景色に連れて行ってくれた。
自分にとって初めて見たトロントの夜景。今も脳裏に焼き付いている。“これが私たちの住む街の夜かあ”と、自分を含む人々が営む街を俯瞰し、少し感慨深く感じていた。トロントの冷たい風を初めて教えてくれたのもこいつだった。
変な男
それ以降、忙しかったのもあり自転車に乗ることはなく1週間後の引っ越し当日。
バスの中には10人ほどの乗客がいて、私はスーツケースを支えながら友人とお喋りして目的地へ向かっていた。
そのときバスは赤信号で止まっており、目的地まではもうすぐだった。
するといきなり、
“Fucking open the door!!”
バスの中まで響くような怒声が外から聞こえてきた。
窓を覗くと、バスの前方のドアを叩きながら叫ぶ男性。身なりから推定するに、多分ホームレス。少し聞いていると、バス停ではないがここからバスに乗りたい、とのこと。
バス停ではないのでドライバーはそこで彼がバスに乗せることを許さず、頑なにドアを開けなかった。まだワーホリ1ヶ月だったので、トロントではこれが日常茶飯事なのかと思ったが、ほかの乗客も何事かと外で起きている出来事に釘付けだったので、普通ではないんだなと悟った。
信号が赤から青に変わったので、ようやく静かになるなと安心した。
だけどその男性はしつこく何度もドアを開けるように申し立て、ドライバーに断られ続けた。一悶着あった後、その男性が逆ギレして静かになり、バスから離れるように歩き出した。ようやく収まったかと息を吐くのも束の間、男性はバスのアタッチメントからチャリを外し、そのまま何かを叫びながら乗って行ってしまったのだ。
相棒チャリとの別れ
それは一瞬の出来事で、私は驚きすぎて声も出なかった。ドライバーは彼を止めようともせず、そのままバスを発車させようとした。私は正直もう仕方ないか…と思っていた。チャリは何にも登録されてなかったし、90ドルで譲り受けた中古だったから。
だけど一緒にいた友人は正義感が強かったので、ドライバーに「彼を追いかけるために降ろして」「どうすればいい?」等聞いてくれた。しかしドライバーは降ろしてくれなかったし、「OK, 警察呼べばいい?」という感じで投げ出された。そりゃそうだ、ほかの乗客もいたし、彼の仕事はただバスを運転するだけ。
友人と私はその場でバスを降ろされ、数分後TTCの警備官が来た。とりあえず事情を説明し、警察は呼ばないことにした。たぶん自転車はもう見つからないし、時間取られるだけ無駄だと思った。さらに加えて、その日は友人の誕生日だったのでこれ以上 “最悪な日” にしたくなかったというのもある。
私は一連の出来事を終えて、「カナダへようこそ」と言われた気がしてもはや面白かった。日本ではほとんどの人が経験しないであろう出来事を経験し、これからのネタになるだろうとまで思っていた。友人は私以上に腹が立っていて、親身になってくれて感謝しているが、それも少しおもしろおかしかった(笑)
その後、スーツケースとリュックサックだけの身軽になった私たちは、次のバスを捕まえて引っ越しを終わらせた。その事件を忘れるかのように、その日は何人かの友人と飲み明かした。
人生はプラスマイナス0
一夜明け、6時間ライドのオンタリオレイクで共におしりを痛めたチャリが手元から無くなったのはやはり寂しかったけど、もう次の相棒を探そうとサイトをぼんやり見ていた時だった。「チャリ事件」をTwitterで呟いた私の元へ一通のDMが。
“うちに古い自転車があるんだけど使う?”
Twitterで出会ってそれまで1度だけ遊んでもらった方から、ピンクの自転車をなんとタダで譲ってもらった。この世には自転車をバスから盗む変な奴もいれば、タダで自転車を譲ってくれる心優し人もいるんだなあとしみじみ思いながら、心の底から感謝。
第2の相棒を手に入れ、大好きなトロントの風を斬る生活はまたそのあとの話。
結局、盗まれたチャリも日本で加入してきた保険でカバーでき、90ドルは返ってくることになった。カナダの洗礼を受けたチャリ盗難事件と自転車を譲ってくれたこと。最悪な事件と人の温かさを同時に感じた12月の引っ越しだった。
まとめ
カナダ、特に日本以外の国で生活していると、予想もしていなかった出来事に出くわすことも多いと思います。
私自身、何事も楽観視し過ぎてしまうことが長所でもあり短所でもあるのですが、何か予想しなかった悪いことがおきた時に、毎回毎回悲観せず、新しい経験・知見だと受け止めることで、海外生活が何倍も何十倍も面白くなると信じています。
まだまだ珍事件あるので定期的にまとめたいと思います!
See you soon!